写真は霊雲寺灌頂堂
真言宗や天台宗では僧侶になるために、十八道念誦法、金剛界法、胎蔵法、護摩法による四度加行(しどけぎょう)という修行をおこなう。修行期間中、毎夕に施餓鬼作法を行うことになっている。
私の見聞した限りでは、その時「施餓鬼略作法」といって、たいてい簡略化した作法で拝むことが多いようだ。
浅草寺の住職であった、天台密教の大家、故清水谷恭順大僧正は、四度加行のときから毎日欠かさず施餓鬼作法をされていたという。
旅行のときでも、昔のことだから、客車の窓から外に向かって加持した飲食を餓鬼に供養したそうだ。自分ほど餓鬼たちと懇意なものはいないだろうと、手記に記している。清水谷大僧正には施餓鬼にまつわる不思議な経験があるので、また後日にご紹介したい。
江戸湯島の霊雲寺開山、浄厳和尚は、施餓鬼の作法が密教のテキスト通りに行われず簡略化されていると、多くの餓鬼に対して供養しても、それを受けれる餓鬼と受けられない餓鬼にわかれ、すべての餓鬼を救うという本旨からはずれて、虚しく功力を用いるだけで、かなしむべきことだ、ということを知り、如法なる施餓鬼作法を編成した。
私が修法するのはこの浄厳和尚の次第である。
この次第は後年、曹洞宗にもつたえられ、「甘露門」として修されている。ただし、滅罪の要法として浄厳和尚が加えた、菩提場荘厳陀羅尼と千手眼陀羅尼(大悲呪ではない)が略されている。
また、甘露門は修験道のある流派にとりいれられ、独自の供養法となっている。
施餓鬼供養の利益は、息災延命(災いを消し、寿命をのばす)、滅罪生善(悪業を滅し功徳を積む)、追善(亡者の供養)、不食の祈(食事ができなくなった時の祈祷)などである。運命がふさがったときにも、利益があるという。
私の母が原因不明で食事がほとんど出来ないときがあった。その時に施餓鬼供養を長日おこなった。しばらくかかったが、90歳近くになった今でも、おかげさまで元気である。(同時に法友にもご祈祷をお願いして、拝んで頂き、有り難かった)
大森義成に施餓鬼供養を依頼希望のかたは下記アドレスまでメールください。詳しい要項を送ります。
当庵では七座にわたり、ご供養いたし、あわせて施主の滅罪生善を祈念します。
なお、施餓鬼供養に関すること以外はお返事できませんので悪しからずご了承ください。
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