大森義成 滅罪生善道場 密教 善龍庵

密教や両部神道を中心に語ります。

聖天尊と施餓鬼供養


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閻魔天曼荼羅の聖天尊

 

 

 知らない方からすると、意外かもしれないが、祈祷寺でなくても、寺門興隆のために聖天尊の修法をするお寺はしばしばある。

面白いことに、ご利益は葬儀や法事、檀家が増えることだ。つまり滅罪、回向事である。ここでは詳しく書かないが、食うや食わずの貧乏寺が、なかなかのご利益を授かった例もある。

 

聖天尊のお手配である法事や葬儀。

聖天尊と餓鬼や死者の霊とどう繋がりがあるのか不思議に思っていた。

 

たまたま知り合いの僧侶と話していたときに、彼が「聖天」は閻魔天の眷属であるといったので、はたと閻魔天曼荼羅が脳裏にうかんだ。以下のサイトにその曼荼羅があるが、中尊の閻魔天の眷属として、太山府君、荼枳尼、遮文荼、成就仙、昆那夜迦(単身の聖天)、五道大神、司命、司録が画かれている。これらはすべてインドや中国の死者の世をつかさどる冥府神である。儀軌にない師伝の曼荼羅である。

 


絹本著色 閻魔天曼荼羅(えんまてんまんだら)図

上記参照、閻魔天曼荼羅(えんまてんまんだら)図をみる。

 

ここでいう昆那夜迦(びなやきゃ)は、いわゆる夫婦二尊の大聖歓喜双身天王ではなく、障礙神のことである。

 

大聖歓喜双身天王は大日如来の最後方便身として、昆那夜迦の姿をとり、これらの王としてもろもろの昆那夜迦を眷属として統率しているのである。だから聖天法は一般的には障礙を除く法とされてきた。

 

大聖歓喜天王の眷属でもあり、閻魔天の眷属でもある昆那夜迦は、ちょうど一人でテニス部と書道部に兼ねて入部しているようなものだ。

 

じつは死者の霊のうち、餓鬼も南方閻魔天の眷属であり(イシャナ天の説もある。これも兼任だろう)それで聖天尊に供養して、葬儀、法事の法務がふえるのは、聖天尊が昆那夜迦に命じて手配するからであると思う。

 

逆に施餓鬼供養をすればもろもろの餓鬼は閻魔天にその善根功徳を報告し、当然眷属の昆那夜迦も随喜することとなる。それは親分である聖天尊にも伝わることである。

 

密教では護摩の時、諸天善神に供養する世天段がある。しかし、実類の鬼神や眷属は護摩壇にはあがれないので、護摩のあとに神供といってお堂の外に小さい壇を構えてそれらを供養する。そうすると法が成就することが儀軌(修行のテキスト)にある。そして神供は施餓鬼供養とほぼ同義である。とかく親分にばかり目が行くが、下働きの子分たちにも気を遣うのが実は密教祈祷の裏技なのだ。

 

ちなみに閻魔天准胝観音の眷属である。だから准胝尊の法である延三七歳大事を行うと、同尊が閻魔王に命じて行者の命を延ばすのだ。また毘沙門天の眷属が太山府君、五道大神である。したがって、それらを信仰するものも施餓鬼供養が大切であることは言うまでもない。

 

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