哲学者の故上山春平氏が京大の学生だったころ、ノイローゼになってこまっていた。
そこで下宿の主人の紹介で、東寺に住んでいた種智院大学の教授、長谷寳秀師を紹介され、虚空蔵求聞持法の伝授をうけた。
虚空蔵求聞持法は弘法大師が修行したことでも知られている。虚空蔵菩薩の真言陀羅尼を百万遍唱える。
上山氏はお坊さんのように、お堂に籠りっきりでは修行できないので、毎日、大文字山に登りながら虚空蔵菩薩の真言を3000遍念誦していたら、一年ほどでノイローゼが治ってしまった。
上山氏は「これは陀羅尼の功徳があったのか、それとも陀羅尼をおやりになったというお大師さんを信じたことが功徳になったのか、それはわかりません。お大師さんは陀羅尼を説かれたお釈迦さんを信じ、おやりになった。(中略)たった1つの(虚空蔵菩薩の)陀羅尼を百万遍繰り返そうという念願が、いろんなものを私の中に生み出してくれたんですね。私は我執の強い人間でございますから、自分が努力して自分の問題を一歩でも克服していくというこの行が私に向いていたのかと思います」(『お大師さまと求聞持法』より)
詳細は以下のサイトを参照。平成十一年十四日の、NHK教育テレビ「こころの時間」上山氏へのインタビューの内容を要約している。
寛容への道
長谷寳秀師が住んでいた東寺