泉聖天尊のお弟子であった村木師は、ご自身の家を改築するとき、石垣からでてきた、たくさんの蛇たちを、桶にいれて暖かいところにうつしてあげた。
その後だいぶたってから、それを知らないはずの泉師から、
おまはん「たくさんの人が感謝している」で、と告げられ、なんのことかと思ったら「蛇じや」と教えられたそうだ。
そのあとで、村木師の子供が高熱を出したときに、「たくさんの蛇が来て、熱を食べていった」と子供から聞いたという。
そんな不思議から、村木師は道端や川に犬や猫などの動物が死んでいたら、かならず光明真言を三遍あげるように心がけていた。
あるとき、動物の霊がついて、さまざまな行者に祈祷をうけたが、効かないのだという人が村木師のところにやってきた。
どうして、うちにきたのかと尋ねると、ある行者に拝んでもらったとき、憑いている動物霊が口を切っていうには「わしを九字切って脅したり、いね!(去れ)と怖がらせる人の言うことはききません。でも村木という人の言うことは聞かざるを得ない。なぜなら、あの人は、わしらの仲間に有難いお経をとなえてくれたから」というので、探してやってきたのだという体験をされた。
私、大森義成も、この逸話を知ってから、動物の死骸をみたら、光明真言を唱えている。知人のAさんは、車で走っていても、道で死骸をみたら車を止めて、手で路肩の土地を掘り、埋葬していた。
先般、事件として報道された、虐待の犠牲になった鳥(インコ)の施餓鬼供養をたのまれた。施主様は事件の報道を知って、心を痛めていたという。
必ずや、その魂に慈悲の供養は届くことだろう。
一切衆生悉有仏性 合掌
村木師が高野山の奥之院の墓地に建てた石碑