これは泉聖天尊の逸話である
あるとき八栗聖天へ、泉先生が先達で大勢の信者といつものようにお参りをした時のこと。
先生はわらじ履きで徒歩でさっさと歩かれる。
すると竹に絡んでぶら下がっているキュウリに、心を惹かれた一人の信者が
「先生、信仰はあんなものでしょうか、あのキュウリ。神さんという竹にしっかりと絡みついておる。
あの竹がなかったり、よしあっても、キュウリがそれを頼りにせなんだら、大きく育ちもせず実はなりもしますまいなぁ」
先生は微笑んで、さて
「まあ、そんなもんじゃなぁ。ただ、竹に絡むだけでは不十分じゃなぁ。それだけでは神さんもしんどいなぁ。助けようと待っておられるのではあるが、こちらからうんと精を出して、せっせと登らにゃ。毎日功徳という大きい根をはりながらなぁ。頼んでばかりいるとオカゲ(ご利益)が薄い」と。