春の土用期間中のこともあり、金光明経堅牢地神品に説く真言を毎朝唱えて、施餓鬼供養などの施主、修行者各位のご多幸を祈念している。
また土地の浄化に関する依頼が多くなっている。
家屋敷墓地など、土地の浄化は通り一遍のご祈祷やお祓いでは難しいかもしれない。
弘法大師の母方に当たる阿刀家では、土地の神様を祀るご祈祷をしていたようで、土地の神様は蛇神で、やはりお祭りが難しいということだった。
私が広島のある霊能者の尼僧から聞いた話でも、寺の敷地の隣の土地に、大きな蛇の霊がいるので祟らないように毎日供物を捧げて供養していた。
真言宗では家屋や土地などを建てるなど土地を使う時に、大地の神様である土公神を祀り供養する。
それは陰陽道の五帝龍王であり地天と同体とする。直接現地に行って土地の神さまの供養ができない時には、屋敷神や土公神の施餓鬼供養を修法している。
土地の霊は龍神と関係が深いので、インドではどうなのかと思って、ヒンドゥー教に詳しい某師にお尋ねしたら次のお答えをいただいた。
『ヒンドゥーの土地神について私が知っていることをお伝えします。
三種類に分けてみます。
①鎮守に相当する神や女神
②氏神に相当する神
③もともと地域限定であったが後に広域に信仰が広まった神や女神
①は動物の象徴を伴います。例:一部のナーガ、ナーギニー、(龍、龍女)
②これは上位階級の先祖に当たるリシ(仙人)です。例:ゴータマ仙人
③現代のヒンドゥーで熱烈に信仰されている諸神、諸女神
私が現地で見たのは①ナーガやナーギニーです。
樹の洞に奉安された石塔、水を満たした壺などが御神体となります。
ナーガ、ナーギニーは儀軌が僅かしかないこともあって、それゆえ専門のプジャリ(祭祀の専門家)は余りいないようです。
大道芸人の蛇使いもナーガなどを密かに祀っているといいます。』
金光明経でも舎利塔を祀って堅牢地神を供養することが説かれている。これは釈迦が成道した時に、それを証明したのが堅牢地神だからかもしれない。
堅牢地神は福徳を授ける神である。これから景気後退が予測されているが、機会を見て報恩の供養法会を行い、その加護を祈ろうと思っている。