光明真言の不思議その3からの続き。
そこでナカエさんは、ランさんのところへ行って、
「午後7時にはありがたいこのような臨終で亡くなりました。生前は何かとお世話になりましたが、肉の口でお礼が言えないから、息を引き取ったらすぐにお礼に行くようにと、母が言いましたのでまいりました」といった。
ランさんは、
「そうですか。今度床に就かれたと聞いて、あるいはあの世へ参られるかもしれないと思ったので、親しい方に普通は仏壇に供えてある樒(しきみ)の枝を下げてきて、その葉っぱでするのですが、あいにく樒の枝がなかったので「あさだ」の枝を取ってきて、その葉っぱで数取をして三晩光明真言を唱えて“リクさんいい所へお参りくださいよ”と念じて拝ませてもらいました。この葉っぱを、お棺の中へ入れてあげてくださいませんか」と言われた。
するとナカエさんが、
「あっ!おばさんそれでわかりました。あれだけ最後までしっかりとしていて、みんなにもいちいちお礼を言い、ご先祖様ともお話をした母でしたが『あさだの森のご殿に参れてありがたい』というのだけが分からず、母も妙なことを言われるものだナ、と思っておりました。おばさんが拝んでくださった光明真言を、母はちゃんと受け取って、そう言っていたのですね。ありがとうございます。お棺の中に入れさせて頂きます」と喜んで持って帰られたと言う。
ランさんの拝まれた光明真言が、臨終のリクさんに届いていた。“真言を念じて唱えたならばその人に届く”という有難い霊験実話の一つである。
【以上のお話は高野山出版社刊『密教瞑想法』から引用しました。この本は残念ながら絶版です】
伝授の時、佐伯泉澄大僧正のご著書『密教瞑想法』に揮毫いただいた。
お知らせ
善龍庵では、12月29日から31日までの三日間、光明真言法を修行して、報恩謝徳の納め万霊総供養を行います。