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懺悔 供養 祝福 報恩 敬愛 (c)善龍庵 大森義成 禁無断転載

浮かばれた話

自分を育てる啓蒙活動をされていた故東城百合子先生の『お天道さまありがとう』(サンマーク出版)に、ご自身の親戚のお子さんに起こった奇妙な現象について記されている。同著から引用すると、

「その子どもは盛岡から上京して東京の学校に通っていたのですが、どこか言動がおかしいのです。いつも落ち着きがなくて、昨日言っていたことと今日いってることはちぐはぐだったり、「外出する」といったかと思うと、すぐあとで「やめた」といってみたり、「おばさんがすすめたところに行ってみたら、おばさんがいっていたことと違ったよ!」と怒ってみたり、まるでノイローゼにかかったように周りの人と話がかみ合わないのです。

 そこで、聖書を勉強すれば少しは落ち着いてくれるかもしれないと思い(注、東城先生はクリスチャンだった)、すすめたところ「勉強してみたい」というので、私が聖書を学ぶ集会に連れて行きました。(中略)

その中で会の先生が「あの子ちょっと違うよ」といわれるのです。私は驚いて「違うって、何が違うんですか?」と尋ねました。すると先生は「違った霊が入っているみたいだね」とおっしゃるのです。

 

このとき、先生のいわれる「違う」との言葉に私はふと思い当たりました。

この子を産んだ母親は、子どもを産んでわずか五か月で亡くなっているのです。その後すぐに父親は、母親の親友だった方と再婚しました。その後妻の方が自分の子どもとして育てたいと考えて、家でも先妻のお墓はつくらず、子どもにも実の母親のことは知らせないまま育てました。先生の「違う」という言葉から、私はそのことを思い出したのです。

 そんな事情を先生に申し上げると「実のお母さんのお墓をつくってお祈りしたほうがいい」というお話をされましたので、考えたすえにその子にも母親のことをきちんと知らせ、盛岡の実家で母親のお墓を作ることにしました。お墓ができるまでは落ち着きなく、その子は仕事を六回も変えるなどいろいろなことがありましたが、一年後にお墓ができるとノイローゼもなくなり、すっかり落ち着いて結婚しました。今では家族で幸せに暮らしています。以下略」

という体験をした東城先生はお墓が大切だと自覚したそうです。

 

私が特に注目したのは、聖書を学ぶ集会の先生が、「実のお母さんのお墓をつくってお祈りしたほうがいい」と指導したことです。

本にはかかれてませんが、実はこの先生はかなりの霊的な力があったことで有名でした。しかし、その霊力で子どもに入っている霊を追い出したり、昇天させなかったのです。もちろん悪霊などとレッテル貼りはしません。

 

いわば実のお母さんの霊はなかったことにされていました。浮かばれてなかったのです。

それを当事者の家族がお墓というシンボルを通して、お祈りしたことでその存在を復活させたのです。お祈りすることは思い浮かべることです。これでやっと浮かばれたのです。

 

子どもにしても、無意識的に何か違和感があったのでしょう。それが正しい流れがわかったことで、その違和感が解消されたのだと思います。

 

東城先生はお墓が大事であるとのべてますが、それはこの場合のケースです。

むしろ私は正しい流れを自覚して、何らかの形で意識して供養することが一番重要だと考えます。それはその人それぞれにあったやり方でよいでしょう。


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3月27日からの施餓鬼供養の申し込み締め切りは本日23日水曜日です。