「えんさんしちさいのだいじ」と読む。准胝観音の延命法である。
延命法は文字通り延命を祈る法である。この法を毎朝怠りなく拝むと、准胝観音が閻魔王に命令して3×7=21年延命するという。
ただし、延命法は増益法(そうやくほう)の一つであるが、単に長生きするだけではない。
説明がむずかしいが、いわば「私たちの限りある【いのち】に、仏さまの無限の【いのち】を感得して生きる」ことである。
それは、自分の煩悩の汚泥のなかに菩提の蓮華を咲かせる法だからである。
いいかえれば、この法は密教で説く煩悩即菩提の深い意義を修める修行である。
そして、これが密教の滅罪の極意である。
この法は真言密教のなかでも、醍醐三宝院の法流のひとつ、願教意教方に伝わるもので、わたしも醍醐の故W大僧正からはじめて伝授をうけた。
その後、諸法流の伝授などで複数の大阿闍梨から授かった。
その時の口伝で、この大事は在家に伝授してよく、病人などあればお授けしなさいということだった。
当庵では有資格者で発心したかたに、十善戒の授戒ののちに、この大事を伝授して、まずは100日続けるようにと指導している。