大森義成 滅罪生善道場 密教 善龍庵

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お盆とあの世に関するあれこれ

当庵でご供養されている方から、たいへん興味深い内容のメールをいただきました。
もちろんご遺族の感情は尊重されるものです。それと同時に亡き方々も尊重されるものです。
かつて、私はたいへんお世話になった亡き大阿闍梨と窓越しに握手した夢を見たことがありますが、そこには窓というあの世とこの世の境界線がありました。私たちはこの世にいながら、あの世との習いを尊重して、亡き方々とかかわりあうのが大切なのです。それが日々のご供養を始め、お盆やお彼岸、葬儀、法事などに示されています。
(次にご許可を頂き掲載します。)
大森先生 先日は納骨堂について質問にお答えいただきありがとうございます。
先生のお言葉で気持ちが楽になりました。
お盆とあの世に関するあれこれで、思い出したことがあります。
何年か前のことです。夏休みも近づいたある日、小3女の子を持つ知人から世間話のついでに相談されました。
そのお子さんは軽度知的発達遅滞で、理解力は幼稚園児程度とおっしゃっていました。
また、GWの連休に家族旅行に行った時に当時6年生だったお兄ちゃんが家族全員の目の前で滝壺に落ち溺死するという、痛ましい事故を経験していました。
知人の相談というのは、3年生の娘が友達や近所の人に兄は生きているという嘘をつくので困っているということでした。
その話を聞いている時に、私は少年が「母ちゃんが俺を自立させたがらないんだよなー」という声が聞こえました。
特に親しくなかったけど私は彼を知っていました。
私は思い切って「お盆はやった?」とききました。
すると彼女は「お盆なんかやらないわよ。お骨はうちにあるし、仏壇もない。」というのです。
さらに話を聞いていると、今でも長男が生きていた時と全く変わらない生活をしていて、同じように食事を用意したら呼び、風呂に入るよう声をかけ、布団も敷いているというのでした。
 
また小3の娘には「お兄ちゃんの分」を用意させるお手伝いまでやらせていたのです。
子を失った母の悲しみに共感しないわけではありませんが、私はその異様さにぞっとしました。
また妻がおかしなことをしているのに、この家族の父親はなぜ妻と向き合って止められないのかとも思いました。
母親が大真面目にこんなことをしていたら、理解力や推理力に障害があるお子さんは、自分に見えないけど兄は生きていると思い込んでしまうのは当然でしょう。
私はお兄ちゃんのことはきちんとケジメをつけてお盆のご供養をして、今現実に一番母親のケアを必要としている〇〇ちゃんと向き合ってあげないと、「虚言癖」は治らないよ、と言いました。
しかし、その方は「そんなことをするとあの子が本当に私の側からいなくなってしまうから絶対嫌!」とおっしゃいました。
その時にもう一度あの少年のウンザリした顔が頭の中に見えたような気がしました。
その後その方とはお会いしていないので、今どうされているかはわかりません。
ただ残されたご家族も亡くなったお兄ちゃんも、新たな一歩を踏み出してほしいと願っています。
この体験から私は生者と死者の区別や、この世に生きていながら、たまにあの世のことを考えることは健康的な現実感覚を持つために大切だと思うようになりました。
Twitterに御先祖様に乗って欲しいハーレーダビッドソン精霊馬を投稿する人達は健康な感覚を持っていると思います。(笑)
心理療法で現実への認知を修正して、感情を修正する体験をしていくためには、現実と幻想の境界をわきまえて行き来することが必要です。
こういう健康さは霊性(私は霊性という言葉を自分を超えたものとの出会い方と解釈しています)と分かち難いことではないかと思っています。
先生のお盆の思い出を読んで感じました。
生きた信仰の伝承が家庭の中にあったら世の中の問題はもう少し少ないのかもしれません。
一言のお礼のつもりが長文の雑談になってしまいました。
ご多忙中最後までお付き合いいただきありがとうございました。
すぐ秋のお彼岸ですね。
またよろしくお願いいたします。

撮影Nさん

 

お知らせ

9月11日からの施餓鬼供養の申し込み締め切りは9月7日水曜日です。