生駒山宝山寺を開かれた、湛海和尚には八幡大菩薩との不思議な体験がある。
和尚が入門した江戸深川の永代寺は、富岡八幡宮を統轄する別当寺であった。そこで和尚は八幡大菩薩を信仰し、本地供を修法していた。
すると三密加持の働きにより、和尚自身が八幡大菩薩となって、頭上に日輪が輝き宇宙全体をてらしていると感じた。また妙なる声を発する白色の塔が出現する夢をみた。
また、ある時昼の間少し眠っていると五鈷と念数をもった弘法大師が、自分の草庵におみえになる夢をみた。
「いままで夢の中でお大師さまを拝見することが出来なかったのに、今日はお出まし頂きありがとうございます」と申し上げると、大師がこの草庵におみえになったのは「お前は常日頃から八幡大菩薩を信仰しているので、御神体を拝ませてやろうと思ってきたのだ。神前へ参ろう」と。
そこで大師のお供をして神前に参ったが、
「当社の御神体は軽々しく直には拝んではならないと、承っています。神様のお心をお伺いくださいませ」と告げると、大師ももっともなことだと仰って、礼盤にお座りになり、おみくじの筒をカラカラと振ったところ「汝ありがたく思え、一番よいおみくじである」とおみくじの番組の串を見せてくれたら、一番大吉であった。
「しからば、お前は扉を開いて拝みなさい。私は帰るぞ」と仰られて、お帰りになった。
その後、扉を開いて拝んだところ、神様は歳を経たお姿でいらっしゃり、煙がそらに上るように天にのぼられたように見えたところで、夢からさめた。
続く
湛海和尚の御廟(生駒山)