大森義成 滅罪生善道場 密教 善龍庵

懺悔 供養 祝福 報恩 敬愛 (c)善龍庵 大森義成 禁無断転載

豪潮大和尚の加持力 その1

準提観音の成就者であり、法力無双の高僧、豪潮寛海大和尚は、二十歳のときに比叡山の妙厳比丘から準提独部法を授かり、ついに本尊から密印を直に授かり、本尊と変わらぬ法力を身につけたという。

 

その高徳を聞いた人々が大和尚の説法に集まり、加持をうけると様々な霊験があったと伝えられている。

 

亡者友達に託して成仏したる事

 

筑前秋月の城下町(現、福岡県朝倉市秋月)に住んでいた綿屋正兵衛の娘である「つた」は、常に準提観音を信仰していた。豪潮大和尚のお加持があるときには、家に居ながらでも香花を供え、礼拝していた。(義成注、これを遥拜という)

 

寛政10年9月26日に遥拜していたとき、たちまち正気をうしない、霊がとりつき話初めた。

「我は甘木屋喜三左衛門の娘、りくである。三年前に亡くなった幼子を残したことが気がかりになり、愛着深くして極楽の近くまでは行ったのだが、そこからは一足も先に行くことが出来ずに、ただうろうろと今日までさ迷っている。

 

この頃は施餓鬼の供養にもあったが、その甲斐なく、この事を親たちに知らせないと、と苦労にも思っている。つたさんは、生涯の朋友のよしみでいま憑依したのだ。このことを私の妹のおれいに会って話して、ここに呼んできてほしい」と。

 

そこで妹のおれいを呼びに行き急いでくると、りくの霊は先ほどの話をしたあとに「おれいさん、あなたも信心はしているが皆我が身の欲のためで、自分の病気平癒のためのみにお加持を受けられているので、姉の私のためには少しもならない。だから3日ほど私のために豪潮大和尚のお加持をうけてくれれば、成仏できるのです」と頼られたので妹のおれいは、大和尚説法している高場村に参り、しかじかと頼んだ。

 

高場村の説法が終わって、大和尚は依井村に行って供養の法要を行った。

亡者が、妹のおれいに会って「お加持をうけてくれ」とたのんだ日から、今日の施餓鬼の供養は3日目にあたっていた。

 

供養がおわるころに、「つた」の前に「りく」の霊が現れて「あなたのお陰で、ただいま成仏いたします」と厚くお礼をのべたのだった。

 


f:id:oomorigijyou:20191031181324j:image

豪潮大和尚建立の宝篋印塔(総持寺)

 

我弟子等。自従無始曠劫至於今日至心懺悔。

帰命十方仏。宝篋印法塔。釈迦牟尼仏

大聖準提尊。一切賢聖衆。悉知悉見我。

今身若前身。所造諸悪業。我今盡発露。

衆罪皆懺悔

(宝篋印準提略懺法より)