追善供養は、ご先祖や亡き方の仏果増進を願い、行われるものです。
同時に、それは私たちにとって、亡き方やご先祖とのつながりを感じるための営みでもあります。私たちは心の中で故人を偲び、語りかけることで、その存在を確かめようとします。
お墓や仏壇は、いわば亡き方と「待ち合わせ」をする場所です。そこに向かい、手を合わせることで、私たちは過去と現在をつなぎ、故人への思いを確かめます。
それはさらに、来世へとより良い方向へ進む道にもつながります。
位牌や墓石は、故人そのものではなく、その象徴です。形あるものを前にすることで、私たちはより深く故人を感じ、心の中で対話を重ねることができます。供養とは、形を通して心を整え、亡き方と向き合う大切な時間なのです。
羽田先生のお言葉を借りれば、供養は一面ではまるで「ままごと」のようなものかもしれません。私たちはお線香を手向け、ご飯を供え、手を合わせます。それは、亡き方を想い、日々の出来事を報告し、感謝や思いを伝える行為です。形だけでなく、その中に込める心こそが、供養の本質なのかもしれません。
それと同時に、ご供養の時には、ご先祖や亡き方とともに仏さまに向かい合い、慈悲の光に照らされています。
私は恩師から、「ご供養の際、本尊を礼拝し読経すると、先祖が後ろに列して、その読経を聞き、ともに礼拝しているのだ」とご教示を受けました。
いわば、ご供養とは、
亡き方と向かい合い、
そして同時に、
ともに仏さまへと向き合うことなのです。