蓮体大和尚の真言開庫集のなかに三力加持について説かれている。
故田中千秋先生の「『真言開庫集』について」から、その概説を引用する。
「第12章 自力他力の弁にうつる
自ら観智を励まして成道を期するのは自力である。
わが真言門は自力のみの仏教ではない。
如来加持力(にょらいかじりき 如来の加えたもう力)を説き、さらに法界力(ほうかいりき 一切衆生の積める功徳力)を説く。
自心と仏心と衆生心の三は平等であるから、行人は一人で行じているのではない。
如来並びに一切衆生とともに行じているのであり、如来長時の工夫も一切衆生の行も自身の行となるのである。これを三力加持という。」
(『田中千秋著作講話集』 高野山出版社刊 より引用)
成道のみならず、祈願にしても供養にしても真言密教では三力加持で成就する。
自分の修行ををするとき、常に本尊、諸尊、そして導師やご同行をはじめ生きとし生けるものとともに拝んでいるのだと意識することが大事なのである。
もし自身の無力を感じる事があれば、虚心になって如来加持力と法界力をあおぐべし 大森