こちらも『陰騭録(いんしつろく)』の解説書。
運命のルールとはまた違う視点で解説されて参考になる。
信仰のある人向けに同書の一部紹介する。
同著81ページ【畏敬の念を抱け】から引用
内に良心に恥じるとともに、外に神明に対して畏れつつしむ念を常に持たねばなりません。畏れというのは、悪事などをした後で、人に知らはすまいかとびくびくしているような恐怖とは相違します。天地神明ー道に対して、おのずから頭の下がる、あの敬虔の念を言うのであります。
我々の凡眼では見えないけれど、私たちの頭の上は天であって天神これに坐します。踏む足の下は地であって地祇(ちぎ)これに座します。
我はその天地の間にあって、天神地祇とともに行住坐臥しているのです。我々は人を欺くことはできても、この天地の神々の眼を欺くことはできません。我汝のいかに小さい見難いような過(とが=不善な行為)であっても、天地の神々はこれを一々分明に照らし、看そなわされていられるのであります。
(中略)
この呼吸のある限りは悔い改めることをなさねばなりません。一呼吸のなお存続するならば、天地にみち満るほどの罪悪をも悔い改めることができます。
古人にも一生悪事をなしてきたが、死底から一生の悪事を悔悟し、たちまち一善念を奮い立たして、ついに終わりをよくした人もあります。これは一念の猛によって一生の悪事を洗い落とすほどの力があることを言っているのであります。
例えば千年も長い間、日の当たらなかった幽谷でも一点の灯を持って照らす時は千年の闇も忽然として照破し除いてしまうようなものであります。
でありますから、過は古い新しいを論ぜず、即刻改めることが何よりも寛容であります。(以下略)
目次
禍福は前知出来る
恥じらいの心を起こせ
畏敬の念を抱け
勇気を振起せよ
一事一事について改める法
道理の上から改める法
心根を浄めて改める法
今からでも遅くない
積罪の徴候
改過の大発願をなせ
積善の効験
積善の家余慶有り
実例の一、 楊 栄
実例の二、 楊 自 懲
実例の三、 謝 都 事
実例の四、 馮 琢 菴
実例の五、 包 憑
善をなすについての心得
善行の十大綱目
一、 人とともに善をなす
二、 愛敬 心を存す
三、 人の美を成す
四、 人に勧めて善をなさせる
五、 人の危急を救う
六、 大利を興建す
七、 財を捨て施をなす
八、 正法を護持す
九、 尊長を敬重す
十、 物の命を愛惜す
謙虚の意義
実例の一、 丁敬宇賓
実例の二、 馮 開 之
実例の三、 李 霽 巌
実例の四、 趙 光 遠
実例の五、 夏 建 所
実例の六、 張 畏 巌
謙虚は福を産む