阿難尊者はお釈迦さまのところに行くと、すぐに五体投地してお釈迦様のおみ足を頂戴して礼をした。そして、恐ろしさのあまり身震いしながらこう告げた。
お釈迦様、どうぞ私の苦しみを救ってください。
さきほど修行中に「焔口(えんく)」という餓鬼が現れて、
「阿難よ、お前の寿命はあと三日で尽きる。死んだ後は餓鬼となるだろう」 というので、「どうしたら、その苦をのがれることができるのか」 と尋ねました。すると餓鬼が 「明日のうちに、ガンジス川の砂の数ほどの餓鬼と百千のバラモン(司祭者)と仙人などに、マカダ国で使うマスでおのおの一斛(いっこく)の飯食をお布施して、私のために仏法僧の三宝を供養すればその功徳でお前は寿命が増えるであろう。そして私は餓鬼の苦を離れ、天上に生まれることができるだろう」と言ったのです。
しかし、お釈迦さま、私はどうやってそれだけ大量の飲食などの供養物を用意したらよいのでしょうか?
するとお釈迦さまは、
阿難よ、恐れるな。私に方便がある。これをおこなえば、おまえが望む供養ができる。だから悩まなくてもよい。
その方便とは「無量威徳自在光明勝妙力」という名前の真言陀羅尼を唱えることだ。これを唱えれば、よくガンジス川の砂の数ほどの餓鬼と百千のバラモン(司祭者)と仙人などにこの上ない飲食を満足させることができる。それはマカダ国で使うマスで四十九斛の量に相当する。
阿難よ。この真言陀羅尼は私が前世での修行時代に、観自在菩薩のところと、世間自在威徳如来のところで授かったものである。だから、加持力が強いため、よく無量の餓鬼やもろもろの仙などに種々の飲食を施与して、苦しみの身から解脱させて天上にうまれさせることができるのである。
阿難よ。おまえはこの真言陀羅尼を唱えれば、福徳や寿命を増長することができるであろう。
と施餓鬼供養の根幹となる真言陀羅尼を授けたのであった。
この『仏説救抜焔口餓鬼陀羅尼経(ぶつせつ ぐばつ えんくがき だらにきょう)には施餓鬼供養の功徳として
- 餓鬼など鬼神の類が苦しみの身を離れて天上に生まれる。
- 寿命延長、生命力増強。
- 檀波羅蜜(布施行)の成就。
- 百千倶胝の如来に供養するのと同等の功徳。福徳を具足する。
- 一切の悪鬼神に侵害されない。
- 諸仏に見守られ、諸天善神が守護する。
- 一切の怨みに害されない。
などが説かれている。
そして、経典の最後には、お釈迦さまが阿難に対し、この施餓鬼の修法を如法に修行し、広くその功徳を多くの人々に伝えれば、無量の福を得るだろうと説かれている。
そのため、善龍庵は経典の説くところにしたがい、施餓鬼供養を略せずに修法し、こうして功徳を広めているのである。
ちなみに、天台密教の大家、清水谷恭順大僧正は、この経のいきさつを、餓鬼が救われたいあまりに阿難尊者にとり憑いたのであると述べている。
※大森義成に施餓鬼供養を依頼希望のかたは下記アドレスまでメールください。詳しい要項を送ります。
当庵では七座にわたりご供養し、あわせて尊勝陀羅尼をとなえて施主の滅罪生善を祈念します。
なお、施餓鬼供養に関すること以外はお返事できませんので悪しからずご了承ください。
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