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大随求陀羅尼と諸天善神 諸悪鬼神

聖天様のお経本のなかに、大随求大明王真言が記されているがどうしてか?

という質問をいただいた。早速 架蔵の生駒聖天尊の『歓喜天拝礼作法』を披見すると確かに掲載されている。

 

この真言は、常には滅罪や亡者の得脱(浄土にいくこと)のためによく唱えられる。

なかでも横死といって、刑罰や変死での場合のご供養には、ことさらに功徳がある。

ゆえに日々の施餓鬼供養のまえにも、本尊法楽にこの真言を唱えて総回向している。

 

これは推測だが、生駒山の開山、湛海律師が聖天尊の法施に大随求陀羅尼を唱える旨を示したことによると思う。例えば七日の浴油期間中に七巻同陀羅尼を唱えるのが下品(げぼん)の法施である。中品(ちゅうぼん)は二人がかり(大随求陀羅尼すべて唱えるととても長い)で七日のうちに14巻、上品になると三人がかりで21巻唱える。

これは同寺で出している史料集成のなかに掲載されている。

同陀羅尼は全部唱えるととても長いので、在家の勤行次第には同陀羅尼のなかからこの真言を収録したのかもしれない。

 

実際、宝山寺の奥之院には大随求明王明王といっても、この尊の真言の力が強いからであって、実際は蓮華部の菩薩である。また、私の伝授受けた流派では金剛界大日如来と同体とみる)がお祀りされている。(以前は如来荒神と書かれていたが、八臂であったのと持ち物から察して違うと思う)

 

大随求陀羅尼経を披見すると、この陀羅尼を唱えるものは、数多の諸天善神の加護を受ける旨が説かれている。そのなかには私たちがよく知る多聞天や吉祥天、弁才天、カリテイモ、大黒なども登場する。

 

 

面白いのは諸々の魔衆や黒耳吉祥天などという、近づきがたい存在も行者に仇するのではなく、守護するようになるのだ。

黒耳吉祥天は影のように吉祥天に付随していて、吉祥天が信者に授けた福を奪う。俗には貧乏神などと呼ばれる。ゆえに吉祥天を拝むときには、かならず大随求明王の随心真言を唱えることになっている。まさに禍転じて福となす。である。

 

さらには一切の悪薬叉、羅刹、ダキニ、ビナヤキャなどの諸悪鬼神もこの陀羅尼を唱える力で、行者を侵悩することができないと説かれている。

 

(参考までに、生駒の経本には真言の最後が「うんぬん~そわか」とあるが、これは音便変化による読癖である。これはこれでよいと思う。ただし当方の納め万霊総供養の供養法は「うんうん~そわか」なのでこの通り唱えてください)

 

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