30年前ほどまえ、法事でお伺いしたお家で「ふだんどうやって拝んだらいいのですか?」とたずねられた。その時は唱えるお経や真言の事かと思ったが、そうではなくて「成仏してください」とか「見守ってください」という祈りの言葉のことだった。
そこで私は合掌して「◎◎さんが、安らかでありますように」と念じるとよいです。とお伝えした。
多くのかたにお伝えしたが「お坊さんの言うように拝んだら、自分も心が安らかになった」とフィードバックをいただいた。
よく「ご冥福をお祈りします」と有名人の逝去のニュースでキャスターが言っているが、具体的にどう祈るのかな?と思う。
浄土系のある宗派の教師は「冥福とは何事だ!そんなくらい所にいない。浄土にいるんだから!」とえらい剣幕で言葉狩りをしていた。
そこまで目くじらたてなくても(笑)
冥土のといっても暗い冥府という意味ではなく、実際、多くの人は、故人の死後の安寧を願う意味で使っている。ゆえに「安らかでありますように」が冥福を祈るのには相応している。
仏教では「安心(あんじん)」と説く。
それも解釈はそれぞれだが、単純にとらえればその教えの信仰により心が安らかになることだと思う。それは死後も同じこと。
ゆえに「安らかでありますように」と念じて供養することは、わかり易くて意味が通じている。
以来、私は法事や葬儀の最初と最後には、参列者に促してこの祈りをともに行っている。
どんな宗派や宗教のひとにも通じて使える。
知人の僧侶等にも教えてあげたら、これはよいと使っているそうだ。
ただし、密教的にはさらに深い意味があるので、そこの部分は教えていない。
導師である僧侶が修行によって自得するものである。
そこで初めて生きた引導が渡せるのである。