聖天さまの真言は「おんきりぎゃくうんそわか」と唱えますが、この真言が説かれている不空三蔵訳『大聖天歓喜双身毘那耶迦法』には「おんきりぎゃく」とあり、「うん」の文字がありません。
そのため、師伝で「うん」の字が加わったといわれてます。
「きり」は観音様、「ぎゃく」は男天様とされ、「うん」は軍荼利明王と口伝されています。軍荼利明王はビナャキャを調伏して、その障りを除き、執着からの迷いを断つからといいます。
さらに別の考え方があって、この「うん」は愛染明王を表すと言われています。
観音様と男天様が歓喜和合するのが、愛染明王の三昧だからというのです。
聖天様は煩悩即菩提を如実に表す仏様ですので、私もこの口伝の方がより深いと思います。
そこで私は毎朝の勤行のときに、聖天様の真言を唱える前に愛染明王の御真言を唱え、愛染田夫の法を修しています。
◎予告
四月の末ごろ3日間、愛染明王敬愛修行会を開きます。在家の方向けです。
善龍庵では四種法のうち、滅罪会は息災。施餓鬼は増益。敬愛修行会を敬愛の祈りとしています。
私達の悩みの多くは対人関係です。
他者を変えるのではなく、自分自身が本来もっている敬愛の功徳を現し、小は自分の周囲から大は世界全体にいたるまで、その功徳を及ぼします。
世相不安な時期にこそ、大切な修行です。
近日中に詳細を掲載します。
梵字「うん」豪潮大和尚筆