私は聖天行者ではないが、一人の聖天信者として様々な功徳をさずかってきた。
(聖天さまの修法は何人かの阿闍梨さまから伝授をうけている)
もちろん宿業のため心願が成就しないことはある。
また何十年もかかって巡り巡って成就したことがある。
こちらの意図とはまったく違う方向にすすみ、それが結局いちばんよかったという場合もある。
はっきり言えば、聖天さまの大智慧は私たち凡夫の小智では、
まったくはかりしれないものである。人智をこえている。
ゆえに、御祈祷やお供物あげて拝みさえすれば、こちらの都合よくなんでも叶えれくれるというような、魔法のご利益製造機ではないことは理解しておく必要がある。
そういうことも踏まえて、聖天さまの功徳を授かる秘訣をご紹介する。
あくまで私が功徳を授かった経験によるものであることはご理解いただきたい。
ちなみに聖天さまだけでなくすべての天部は、仏道修行者を守るために功徳を授けるのである。だからこの秘訣はすべての天部にも通じる。
①十善戒をまもる
聖天さまの梵字は戒体(戒の功徳)を表すという口決がある。女天さまは袈裟をつけていて戒をまもる姿を現す。たとえ毎日守れなくてもご縁日だけは十善戒をまもろうと努めること。一日がむりなら半日でもよい。もちろん意図せず守れなくても罰はあたらない。これはいわゆる断ち物とは違い仏道修行の基本である。
②積善を心がける
聖天さまといえども、因果の理法を捻じ曲げたりはしない。積善を心がけることが大切である。
③感謝する
私は毎朝聖天真言を千回となえて拝むが、そのときはただ感謝をこめて唱えるだけである。何を感謝するかといえば、今、無事に拝めることを感謝している。
人間でもお願いばかりされると、くたびれてしまう。常日頃から感謝していると、聖天様のほうから動いてくれる。
④根気よく地道に
すぐに叶わないことが最適である場合は、なかなか功徳があらわれないので、いつまでも成就しないように感じる。しかし、本当の心願成就は自然とご縁が整い、いつの間にか叶うのである。そのときまで、根気よく地道におがみ続けることが大切。ある意味でその人の信仰が問われる。
⑤お任せする
これはある著名な聖天さまをお祀りするお寺の関係者から教えてもらったのだが、こうなりますようにと必死に祈り、まさにその通りに願いがかなったのだが、結末は不幸だったということがある。
それよりも聖天さまにお任せすることである。「こういう願いがあります。聖天さまの御心にお任せします」とあずけてしまうこと。どれだけお任せできるかが最重要。
なぜなら、こちらが任せられないとそれが邪魔になり聖天さまといえどもうまく働けないからである。
以上、皆様の参考になれば幸いである。