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濱地居士感得の宇賀神王御影その2

無我相山の弁天窟 濱地居士が不忍池弁才天を勧請したもの 今は閉鎖されている


宇賀神王像感得の経緯だが、濱地居士の伝記『金剛経に一生を捧げた 濱地八郎天松居士』(林天朗居士著 濱地光男編)から要約すると、

 

昭和11年の初夏のころ、濱地居士が三日成就経を読経しているときに、突然に激しい霊感があり、左に宝珠、右手に何か細い物をもつ、荘厳な二臂の女神が二度感見された。

 

細い物は何かよくわからなかったが、その時読誦していた三日成就経に「宝蔵の印鑰(大森注、いんにゃく=鍵のこと)を以て妙弁才を施す」とあるので、これは宇賀神王であると確信した。

 

その御姿を画家であった林天朗居士に描くことを依頼した。しかし林居士自身が直接見たわけではないので、林居士も自分にもその御姿をみせてくださいと行をした。しかし、結願の日になっても、お姿は見えなかった。

 

その翌日濱地居士から見せたいものがあると連絡を受けた林居士。さっそく参上すると、濱地居士から古い厨子に入った仏像をみせられた。

 

それは濱地居士もいつ入手したか忘れて、ほかのお厨子の片隅においていたが、昨日の午後にお堂に入ると、何気なくこの厨子があったのを思い出し、矢も楯もたまらず開けてみたくなって扉をあけると、おどろくことに濱地居士が感得した御姿と同じお像が入っていたのだった。唯一違うのはお像は座像で、濱地居士が感得したのは立像だったという。

(大森注、この仏像はもともとは七面天女の像だと推測される。七面天女は手に宝珠と鍵をもっている)

 

それを林居士にみせて立像に描いてくれとの依頼だった。

 

そして、その濱地居士が厨子を開いた時間が、林居士の行が結願した時刻と符合したそうである。


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