第二は智慧を増すのであって、
経典を写すときは、自然に経文の意義に通じ、愚癡(ぐち)を転じて、智慧を得て、
生死(しょうじ 大森補 言い換えれば「迷い」のこと)を解脱するのであります。
第三は寿命を延ばします。
娑婆世界は、なに人といえども心の満足を得ることはできないものであります。
ゆえにこの不満足に満足し、あたはざる為に寿命を縮め、天年(注、天寿)をまっとうせざる人もあるのでありますが、写経の功徳は自然に、自己の宿業を覚りて、現在の境遇に満足し、悠々自適の生活をなし、その天年を全うすることが出来るのであります。
※ 金剛般若波羅蜜経 要品を繰り返し写経すると、少しづつ迷いが、ほどけてきます。それが難しい人は四句偈だけでもかまいません。
金剛般若経 四句偈
一切有為(いっさいうい)の法(ほう)は
夢幻泡影(むげんほうよう)の如く
露(ろ)の如く 亦(ま)た電(でん)の如し
応(まさ)に如是(にょぜ)の観を作(な)すべし