大森義成 滅罪生善道場 密教 善龍庵

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たとえ真似でも口先きでもよい

なかなか感謝する心境にならないということがありますね。

特に悩んでる時などはそうです。やはり日頃からの修養が大事です。普段から積み重ねです。

 

黒住宗忠師の逸話を紹介します。

 

ある門人が心の底から有り難いという心がどうも起こらないが、寝てもさめてもありがたいという心境にはどうしたら進めるでしょうか?と黒住宗忠師に尋ねました。

 

それに対して宗忠師は、

「たとえ真似でも口先きでもよろしいから、まず朝目が覚めると第一にありがたいと申し。それから顔を洗うとまたそこでありがたいと申し、次に日拝をしてありがたいと礼拝をなし、それより自己の天職について手足の自由に働かれることをありがたいとも申し、見るもの聞くもの。何につけてもありがたい。ありがたい。ありがたい。丸でありがたいと言って参られれば自然とお心がありがたくなって参ります」と答えた。

 

するとじっと聞き入っていたその門人は、宗忠師の言葉が終わるや否や「ありがとうございます」と礼を述べたので、宗忠師はすかさず「そこじゃ、そのありがたいと申されし場合が真の誠の表れし、有難いなのである」とさとしたと伝えられています。

 

言葉は心を作りますね。これは祝福行も同じです。見るもの聞くものすべてシリソワカと祝福する。すると祝福意識が成長して、自分がそのうち祝福される生き方になります。

あと、感謝は実際にあったことから始めるとやりやすいです。こういうことをしてもらった、こういうお世話になったと、小さいことからで良いので思い出し、ちょっとずつちょっとずつ見つけて感謝を続けるのです。

 

これは逆の場合もあって常に不平不満や、愚痴恨み、悪口、陰口など言い続けると、不満を吐き出すつもりが自分の心が聞いてますから、結局悪い薫習を行ってます。これがつもり積もって自分の運命を悪くします。要注意です。

まずはそこに気がつくことが大事です。

 

どうせなら、自分が幸せになる、感謝や祝福を常に口に出したいですね。それがいつのまにか自分の環境も良い方に変えていきます。


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この逸話は吉川弘文館で刊行されている、『人物叢書 黒住宗忠』原敬吾著を参考にしました。

この本も京都の宗忠神社で購入しました。一般書店でも買えます。