施餓鬼供養は餓鬼道に苦しむ、もろもろの餓鬼たちを救済する密教の修法である。
仏教修行の根幹は「布施」である。だから四摂法や六波羅蜜のなかでも、布施が第一番目にある。
布施にはさまざまな種類があるが、なかでも施餓鬼は最も功徳が大きくて、無量無辺の諸仏に供養するのに等しい。
ただし、密教の修法だから、一般在家のかたは行うことができない。
そこで、日々に施餓鬼法を修行する阿闍梨に依頼して拝んでもらうことになる。
その時必要なのは「随喜(ずいき)」と言って、施餓鬼供養の趣旨に賛同して支える精神である。すると、ともに功徳を積むことになる。
実際の行動としては、供養のお布施やその功徳を他者に伝えるなどがある。
当、善龍庵ではおおまかに次の3つを目的に施餓鬼供養を勧めている。
1 自分自身の滅罪生善のため
施餓鬼は重要な菩薩行である。他を救うことにより、自らも救われる。自利利他を同時に満たす仏道修行である。
ある修験行者から伺った話だが、悪い運命を良い方向に変えるには、懺悔と積善によるという。なかでも、施餓鬼は積善の功徳は大きい。
2 先祖や所縁の霊に対して供養するため
これには2つあり、
1つめは、法界の中のたくさんの餓鬼を供養することで生まれた功徳を、所縁の霊に回向する。つまり追善供養にあたる。
この場合は先祖などが餓鬼に生まれているわけではない。それらの仏果が増進するように供養するのだ。
2つめは、先祖や所縁の霊のなかで、餓鬼に生まれ変わっているものに対して、直接、施餓鬼供養をする。それらは日本的文脈でいえば、浮かばれてない霊ということになる。
この功徳で苦しみからはなれて、縁のある天か浄土に生まれかわる。
その後も引き続き、これらの霊に施餓鬼供養すれば、もはや餓鬼ではないから、1つめの追善供養となる。
あとは、住んでいる土地などにまつわる精霊(山川の地主)を供養することもある。
住んでいるところの影響は大なり小なりあるからだ。
私が昔いた寺の住職は霊能力があり、その子供も少し霊感があった。あるとき二人とも境内の隅に善くない地主の大蛇の霊をみたことがあり、それから常にその大蛇の霊を施餓鬼供養していた。
3 先祖や過去世などの所縁者たちとの良い関係性を築く
私たちは先祖や前世の父母などの意識と、自分の深い意識の部分で関係し影響しあっている。とくに、過去三代14人。
あるいは過去の所縁の者たちとも関係性がある。
また、水子や横死などで、無かったことにされている者たちがあると、関係性がとどこおる。
それらとの関係性を供養により、円滑で良いながれにするのである。良い循環を生み出すのだ。
これを施餓鬼供養では、供養をうけた餓鬼が天や浄土に生まれ変わり、行者や施主を守護して願いを叶えるようになると表現している。
また、施餓鬼の功徳で悪鬼羅刹に侵害されないとある。今風にいうと霊障をうけないということだろう。
これらの理由から、施餓鬼供養はご縁があれば、無理のない形で継続するのが好ましい。
大森義成に施餓鬼供養を依頼希望のかたは下記アドレスまでメールください。詳しい要項を送ります。
当庵では七座にわたりご供養し、あわせて尊勝陀羅尼をとなえて施主の滅罪生善を祈念します。
なお、施餓鬼供養に関すること以外はお返事できませんので悪しからずご了承ください。
oomorigijyou-segaki@yahoo.co.jp